書籍 | 一般
商品コード:
9784902312690
梅干しとひかり
販売価格(税込):
2,640
円
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26
Pt
ひかりがたりすと 納谷 昌之
A5判 200頁
オプトロニクス社
2022年5月27日刊行
書評
納谷昌之著 「梅干しとひかり」 書評
東京大学名誉教授 大津 元一(一般社団法人 ドレスト光子研究起点)
70編に達しようという多くの話題からなるこのユニークな書物を読みつつ、「このような本を書く人はどんな才能、感性を持っているのだろう」と驚愕しています。まえがきには「この本は教本ではない」とありますが、いやはやどうして、これはまさに光に関する優れた教本ですよ。
ところで技術開発に従事する人が新しい技術ネタを探す際、欧米先進国で流行している技術を「習う」ことからネタを「作る」ことへと意識を切り替える必要がありますが、「作る」ためにはある種の感性が必要です。本書はまさにこの感性が身につく教本でしょう。ついに光の書籍の新ジャンルが開拓されましたね。
光にまつわるエッセイはこれまでいくつか目にしましたが、本書はそれらとは大きく異なります。優れた独創技術を実用化した技術者として産業界で高く評価されている著者の筆によるもので、光に関する深い造詣にもとづく話題が満載です。各話題の前半では国内外の文学、自然現象、旅行、そして新技術などと光とのつながりが紹介されており、著者の視点の広さが光ります。まさに「どんな才能?感性?」と驚きつつ楽しく読み進められます。
しかし後半になるとこれらを科学的に鋭く(かつ奥ゆかしく)分析することへ進むので、「しっかり習わなければ」と少し緊張します。そして全部読み終わると何かを「作る」勇気が湧き、一服の清涼剤を味わった気分になるのです。いや、まさに「梅干し」を一口かじった気分かな。
本書はどこから読み始めても良いですが、一旦読み始めると止まらなくなります。題名の「梅干しとひかり」も秀逸で、その由来も本書に記されています。「日本人として生まれてよかった」と実感します。光の多くの現象を扱っているのに図や写真が一枚もありませんが、これもまた良いのです。文章を読むと自ずから画像が浮かび上がってきますので。(そうそう、唯一、表紙カバーに「梅干しとひかり」のきれいな写真がありますね)。書評執筆者としての私は「ラマン」、「ステンドグラスは・・」、「やっぱり百聞は・・」など、いくつかの話題の現場に立ち会った記憶があり、読みながら思わず「ニンマリ」しました。
幅広い世代の方々に本書をお勧めします。学生諸君、本書は将来の勉強や仕事の方向を探る栄養、活力となりますよ。さわやかな「梅干し」をご賞味あれ。
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本書の特色
2022年5月27日刊行しました!
オプトロニクス社がエッセイを初刊行
・梅干しが酸っぱいのは光が関係している?
・ウルトラマンは地球に光を求めてやってくる?
・目を顕微鏡にするには?
・巌流島で武蔵が勝ったのは光を味方につけたから?
・即席ラーメンが引き起こす記憶の光
などなど、様々な出来事や事象を光や科学の視点で語りつくす、“光”のエッセイが登場!
目次
・トイレのひかりの粒
・トイレと時空
・ラマン
・光日かひか
・光の正体
・光源氏の色についての浅はかな考察
・水色
・高速移動とアンチエイジング
・太陽のせい そしてメデューサ
・眼が顕微鏡になったら
・色即是空
・可視化は得か
・コヒーレント光通信とは
・光コヒーレント通信その後
・光陰矢のごとし
・光線銃の威力
・真っ赤な嘘
・影の分身の術
・眼 時には千里眼
・近接場光
・ひかりごけ 光の輪はみえるのか?
・無闇に闇を語る
・飛行機雲
・ひさかたの
・新緑はふはふしてしまう
・マジックミラー
・巨人たちの肩の上に立つ
・木霊ですか いいえ 光です
・量子効果と恋愛指南
・海底二万里の海
・光学 Optics
・ミクロの決死圏
・地球影
・光の国 ウルトラマンの故郷
・オーラ
・フォト(Photo) 光か写真か
・光
・紅葉の効用
・反薄明光 アンチなやつ
・これも運命─屈折率の波長分散─
・つながって良かった 光と電磁波
・ハートの瞳で何を見た? ダビデ
・金と銀 どっちが偉い?
・暗い夜空に乾杯
・武蔵と小次郎が見た光
・インスタントラーメンと光
・石川五右衛門とプラズモン
・山椒魚は悲しいか?─近接場光の穴─
・ひかり号を超えるもの
・光芒 ─ヤコブの梯子で遊ぶ─
・謎の後光 ─オーレオール効果─
・蛇女と蛇の目
・隣の芝生は青かった
・心霊写真の写り方
・愛しのホログラフィー
・ハノイの混沌 ─光の交差点─
・太平燕 ─春雨はなぜ透明なのか─
・青い瞳を巡る謎
・カメラ遍歴
・消える魔球もいつの日か
・光は旅はどんな旅?
・写真の魔力
・ピカ?それともピカピカ?
・レイリーとミーの間
・灯台に愛を
・ヴィーナスのベルト?
・薄明光線って言えますか?
・空の上のブロッケン
・揺らめく光─デルフトの風景─
・きらり
・サングラス
・日陰?日影?
・いつのまにか積丹ブルー
・ブルーライトカットと言われても
・めくるめく印象派
・立ち食い蕎麦にも森羅万象
・コーヒー色であるということ
・レーザーポインター光線
・鉄腕アトムの目のチカラ
・失せ物がたり
・憧れのシャンパンゴールド
・幻日の現実
・ステンドグラスは永遠だけど
・豆電球にシンパシー
・鼻血の話
・信号機の威厳
・光速半分
・続・光速半分
・眼医者迷医者
・日傘男子誕生
・摩周湖は今日も晴れだった
・ボックスカメラの空洞
・魔鏡魔境
・内視鏡こわい
・神秘なるプリズム
・写真─真を写す?─
・雷様になりたい
・テニスボールって何色?
・雪女の謎
・トイレに咲いた赤い薔薇
・白の効能
・やっぱり百聞は一見に如かず
・梅干しと光